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イタリアン・フレンチなどレストランの開業資金融資の成功例

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飲食店開業の現実②

成功事例 ~イタリア料理で開業希望~

 
イタリア料理店を開業しようということでわたしのところに来社されました。
35歳の料理人の方。奥様も子どもさんもおられるとのこと。
田中さん 「今度大阪市の○○にイタリア料理店を開業しようとしてるんですよ」
 
私 「ほっほっ~ どんな店ですか?」
 
「高校出てからずっと料理人をやっていたのですが、イタリア料理に魅せられましてね。特に半年前まで留学でイタリアに行ってたんです」
 
よくよく聞いてみると32歳で結婚してすぐ子どもが生まれ、元々300万円あった貯金が現在150万円になってしまったらしい。
 
私 「すると資金調達が先ってことですか?」
 
「まさにそうなんです。わたしが貯めたお金が150万円、親から借りる約束になっているのが500万円、嫁が働いていた時代に貯めたのが250万円 合わせて900万円は何とかなるんです。しかし・・・わたしがやろうとしている店は3000万円必要なんです・」
 
私「えつ?3000万円?」
 
結局、政府系金融機関や銀行から合わせて残りの2100万円を借りる手だてを考えてくれ、というのが具体的な相談のようだ。
 
う~ん、それにしても自分で調達したのが資金(=自己資金)が150万円だけで、ほとんど他人から借りて3000万円を調達しようなどとは大胆不敵 と心の中で思った。ここで普通は「何考えてまんねん!」と言いたいところだが、グッとこらえた。なぜならもしこれだけの資金を調達(といえば聞こえはいいが実際はただの"借金")しても、店舗経営に200%の自信があるなら話は別だからだ。
 
わたし「どんな店を作るのですか?」
 
田中さん 「実は平面図もつくっているのですが・・・・」
待ってました! とばかりに図面を出してこられた。
 
「ここに厨房があって、テーブルは8つあって、カウンターが・・・・・」一生懸命説明する田中氏
 
さらに完成のイメージとしての雑誌写真まで切りぬいてもってこられている。
その思い入れは凄いものがあることはわかった。
 
「どの場所でやるのですか?」
 
「大阪市内の○○○美術館の近くで」
 
「あそこで美術館で美しい絵画を見て、いい気分になられたお客さん方がそのまま来てもらいたいのです。意外にもあの美術館の近くには良い気分を余韻を楽しむにふさわしい食事をする場所がないのです。」
 
なるほど。(ひとまず納得)
たしかに、あの場所はわたしも行ったことがあるが人通りが多い割に周りに店らしいものがない
 
「本当の意味でのイタリア料理を出そうとしたら最低これだけの高級感ただよう空間が必要なんです」
 
(う~ん、やっぱり職人のこだわりだなぁ~ でも・・・ホンモノのイタリア料理、って言ったって一般の人がどれほどそれをわかってるんだろうか?)
 
本人のこだわりを真っ向から否定するわけにはいかない。当たり前のことだが、なんせ 「イタリア料理」という分野においては、わたしはまったくの素人なんだから。
 
それからしばらく「なぜ高級感がなかったらダメなのか」ということを私が自分で納得するためにいろんな質問をしてみたが、イマイチ(わたしにとって)説得力のあるものではなかった。
ここは、「職人のこだわり」と「商売として成り立つかどうか」しかみない私との差であろう。
 
2時間延々と田中さんのこだわりを聞かせてもらった上で、思い切ってわたしは思っていることをそのままぶつけた。
 
「田中さんの話を2時間くらい聞かせていただいてもやはり、これだけ高級感があるような建物にする必然性があるとは思えないのですが。半分の1500万円で何とかできるように考え直してみませんか?」
 
一応親族から借りて出世払いでいいお金が750万円あるのだから倍くらいの1500万円というのであれば、書類をかなり作りこめば何とか政府系金融機関から借りれるケースもあるのだ。
 
「えっ! そんな額では何もできませんよ~」
 
「う~ん」
わたしは素人ながらも、平面図を見て、この素材は本当にこれでないといけないのか、このテーブルはこんなに良いものを使わないといけないのか、など次々に質問していくと、やはり、ことばに詰まってしまうところが時折みられた。
 
(なんとか予算を減らしてもらうやりとりを何回も積み重ねたプロセスが結構エネルギーが必要だったのですが割愛します)
 
結局、それでも日本政策金融公庫(こっきん)だけでは1500万円を調達することを前提にしているとリスクがあるので、大阪府の制度融資にもチャレンジしてもらうことにしました。
 
結局・・・・・
 
当社がほとんど書類を代行して書いた結果、日本政策金融公庫(こっきん)から1400万円、大阪府の制度融資で1200万円、合わせて2600万円を借りることができました。
 
もちろん、事業計画書作成にあたって
 
・なぜこれだけの開業融資がなんとしても必要なのか
 
・店をオープンすれば利益が十分出て十分返済出来る
 
・親や夫人の貯金分も自己資金である
 
ということを説得力もってしっかり書き込んだことは言うまでもありません。
 
ポイント
 
●開業資金を今より低く抑えることが出来ないか熟考すべき。
 「これだけの額がないと絶対開業できない」という思い込みも再検討すると修正できるケースは少なくない。
 
●親兄弟や夫人が貯金していた分でも融資申請書類の表現のしかたで自己資金となる可能性がある。
 
●開業融資を受けられる可能性があるのはこっきん(日本政策金融公庫)だけではない。

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